第73回
商品コンセプトはこう創る その3
95日前 コーヒーのトレンド(3)「セームプライス」

この頃になると岩崎さんの店
閉店時間になっていました。
しかし岩崎さんと松井さんの話は続きます。
岩崎さんの奥さんは生豆をハンドピックして
不良品の豆を一粒一粒素早く選別しながら
ニコニコ聞いています。

岩崎さんは多くの喫茶店の商品の値付けのあり方に
問題があった事を指摘しました。
それは
(1)安い方の商品を先か上の方に書く
(2)安い方の商品と高い商品の価格差が大きく
   この為、お客様の購買動機を把めず
   結局安い商品しか売れません
と云うことでした。

岩崎さんは話を続けました。
「松井さんはお寿司屋さんに行きますよね。
品書した用紙を見ると大抵は右から書いてあります。
その始まりは「特上」や「地魚」と云った
プレミアムのつくものから始まり「並」は一番端ですよね。
今は「並」はなくなり、それが回転寿司になったのです。

そば屋さんも同じ右から書いていますが、
「もり」や「かけ」と云った安い方から書いています。
組合せがありますから横並びにしたんです。
本当は自信のある商品を右か一番上に書くのが
店の存在を知っていただく上で効果があるんですよ」

さらに岩崎さんの話は続きます。
「カフェの場合、量が増えて
価格が上ることについてはお客様は納得してくれます。
しかしその限界は30円〜50円です。
しかも増えた量は1cc当り1円で
30cc〜50cc明らかに増えていれば
「セームプライス」と納得してくれます。
アレンジコーヒーでも100円が限度だと思います。
ブルーマウンテンやハワイコナの様に
稀少価値のあるものは「プレミアムプレイス」です。
これを逆に安くするのはその品質まで疑われてしまいます」

松井さんは岩崎さんの話を聞いてこう答えました。
「なる程、お客様はその店のメニューの書き方一つで
その店の店主の物の見方、考え方、
考働の仕方を瞬時に見抜くものなのですね。
私の店の商品の価格のあり方は
もっと勉強しなくてはいけないと思います」


『集団に入れば守られる
しかし集団に入った為のリスクも同じにある』


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