第89回
店造りが始まった その4
85日前 あの幻の名店舗(カフェ・ド・モンタン)を創った男

気がつけばオープンまで
85日しか残されていない事に
不安を隠し切れない松井さんにとって
3日ごとに会って相談できる芝さん
まるで神様の様に見えます。

芝さんによって詳細に書き込まれた実施項目を見ると
それだけでもう開店したつもりになります。
しかし芝さんは松井さんにこう云いました。
「ジャッジメントは松井さんです。
トップはジャッジメントの連続です。
イエス、ノーしかありません。
比較し、検討する時間はあまりありません。
お客様にとって良い事はイエス、
お客様に不利益な事はノーで考えて下さい。
好きか嫌いかで迷った時は
好きな方を選んで下さい。
但しそれは廻りの人の意見を聞いた最后です。」

厨房の設計が決まった次に
急いで決めなければならない事は
店舗の内外装を頼む設計士の人選です。
本来はそれぞれにデザインコンセプトと
パース(完成を予想したイメージスケッチ)、
カラーリング(店舗に使われる色彩のルールづくり)、
主として使われる内装部材の見本を提出してもらい、
審議をして決定するのが最も良い方法ですが、
松井さんはあえてその方法を採りませんでした。

それはかねて芝さん、村田さんから聞いた
今はない幻の名店舗と云われた
「カフェ・ド・モンタン」を設計した
四本(よつもと)さんを起用しようと思っていたからです。
その理由は、今回の松井さんのコンセプト、
昼はセルフサービス方式のカフェベーカリー、
夜はフルサービスのフレンチカフェのモデル店を
四本さんが創ったからです。
四本さんは30才代の才能豊かなデザイナーで
上海の森ビルに入っている
飲食店の設計をした事もある人でした。


『外食のパワーロマンチストは
自らが優れた店舗デザイナーと
グラフィックデザイナーの感性を持つ』


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