第120回
開店前夜 感動のオープン その1
開店1日前 レセプションで見せた社長の泪の意味

目的と方法を教えるのが教育、
出来るまでくり返し行うのを訓練(トレーニング)。
ロールプレイニングを中心とした接客、
調理、清掃、金銭管理などの特訓は延べ40時間に達しました。
そのかいあって、スタッフたちは
お客様の誘導からレジでの注文、商品のお渡しまで、
かなりスムーズに出来るようになって来ました。

ぎこちなかったスマイリング、アイコンタクト、
ストップモーションも合格点をつけられます。
何よりも、スタッフ全員がその気になったのは、
エスプレッソマシンメーカーのFMI
から派遣された
バリスタ、中川さんが指導し、淹れた
エスプレッソコーヒー、カプチーノが
あまりにも見事だったからです。

中川さんの技術を学びたいと多くのスタッフが、
トレーニング時間外に残って自主トレを開始しました。
ただのパートタイマー、アルバイトで終わりたくない人が
実は圧倒的に多かったのです。
責任の度合、技、智恵の高さで
職務と報酬が違ってくると云う事を
一人一人が自覚しているのです。

ベルニーニ岩崎さんのコーヒーも大好評です。
カップオブエクセレンスで落札した
ブラジル、ケニア、グアテマラの442ブレンド
(4:4:2の配合比率)はネルドリップされ、
そのコーヒーがかもしだす甘味とコクは、
今までコーヒーを美味しくないと思っていた
多くの人の考え方を変えてしまいます。

そして、オープン前日、
会社の得意先、取引先を招待した
レセプションが開催されました。
松井さんの父上、松井社長が挨拶する順番が巡ってきました。
しかし、泪目になった社長はなかなかお話する事ができません。
そして、ただ一言、このように挨拶されました。

「私はこのカフェの開店に関して
一切口を出しませんでした。
でもこの世の中で1番厳しいお客様であり
1番やさしいお客様でありたい。
私の想像を超えた店が出来ました。
ありがとうございます。」

社長の言葉から
松井さんと奥様の胸に去来したものは
おそらく御本人にしか解らないと思います。
「おめでとう。いよいよ明日開店です。」


『人に感動を与えるのは話術ではない
話力である』


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