第121回
さあ、開店です、結果はどう? その1
開店当日 始めてのお客様 一生忘れられない言葉

いよいよ開店の日が来ました。
朝4時に目がさめてしまった松井さん。
隣りで寝ていた奥様はすでに起きて、
朝食を作っています。
朝食ができあがり、
2人はコーヒーを飲みながら顔を見合わせました。

松井さん、奥様に一言
「本当にありがとう。
君がいなかったらここまでこれなかった。
今までたくさん苦労をかけたけど、
これからが本当の苦労の始まりだ。
またよろしくたのむ。」

奥様はこう答えました。
「いえ貴方がこのカフェの開店を決めてから、
私は本当に心に張りができました。
生まれ変った様な気持ちです。
力を合わせて頑張りましょう。
おめでとうございます。」

どんなえらい政治家も会社のトップも、
仕事の事は家に持ち込まないと
インタビューなどで答える人が多いのですが、
本当は違います。妻は知っています。
口には出しませんが、
愛する人が悩み苦しんでいる事に
気がつかないなんてありえません。
所詮男は女性の手の平で、
踊っているだけだと云っている人がいましたが
その通りだと思います。

開店初日の朝礼が始まりました。
1人1人、今日だけはスピーチがあります。
全員のスピーチが終ると、コーヒーとパンを皆で食べました。
コーヒーとパンを皆で食べた理由は、
心の余裕を持たせる事が目的です。これが大切なのです。
多くの店は朝礼でこの心のコミュニケーションをとらず、
開店のセレモニーをして開店をしてしまいます。
始めのレールの乗り方を間違えると、
行けば行く程、多くの狂いが生じます。

朝礼に全員でコーヒーとパンを
一緒に食べる事を提案したのは、
芝さんでも社長でもありません。
そうです、あの鬼専務の武藤さんでした。

朝礼が終ると開店です。
始めてのお客様が入って来ました。60歳代の男性です。
メニューシートを見て
「ブレンドコーヒーを下さい」と男性は告げると、
粋なしぐさで2枚の100円玉をカウンターに置きました。
コーヒーを飲み終えると帰り際に、
カウンターにいた松井さんの奥様に声をかけました。
「うまいコーヒーだった。頑張りなさい、又来ます。」


『気くばり、気走り、気働き、
この違いを明確に出来る人を大切にする
この人が会社を救う』


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