第125回
さあ、開店です、結果はどう? その5
開店14日目 やって良かった カフェビジネスは素晴らしい

前回起きたレジ誤差事件は
松井さんと奥様、そして金銭を管理する
不動産業の本社の考え方を
根本的に変えていきました。

まず松井さんは辞めた2人に会ってあやまりました。
そしてレジ登録の金額と
実際の金額の誤差がなぜ起きたのか、
明け方までかけて1枚1枚の伝票とをつけ合わせ、
原因を突きとめた事を報告しました。

3日目の5,350円が足りなかった原因は、
他のレジ担当スタッフが
受取ったお札を1万円札と勘違いをし、
おつりを5,000円、余計に支払ったことを
自ら申し出てくれた事。

毎日レジの金額を数える時は
複数のスタッフが確認するようにした事。
釣銭を含めて各金種別に
有り高を記入する日報を作成するようにした事。
過不足は決して調整せず、
ありのまま報告する事。
こうしたハウスルールが
きちんと出来る様になった内容の報告です。

そして何よりもスタッフ全員が
2人にぜひ戻って来て欲しいと願っている事を
松井さんは誠実に伝えました。
その結果、2人は再び店に戻る事になったのです。

もう開店から14日目になります。
芝さん岩崎さん四本さん村田さん森さん
お世話になった人々と食事をしながら
松井さんは挨拶をしました。

「まだ14日しか経験していません。
しかし私達は本当にこのビジネスをやって良かったと
心から思っています。
お客様の喜びが、我が喜びと云う理念がエネルギーを起こし、
それはお客様の心のエネルギーに点火され、
心と身体が癒されて、明日へ前を向いて
歩んでいける様になるんだと云う確信を持ちました。
本当にありがとうございました」

次に、芝さんが代表して、
松井さん夫妻、社長、専務に向かって挨拶をしました。
「トップにロマン、会社にヴィジョン、
担当責任者に戦略、スタッフに戦術がある組織は成長して、
公器としてなくてはならないものになります。

松井さんのロマンは実に多くの人の胸を熱くし、
創造のエネルギーを生み出しました。
我々も心よりお礼を申し上げます。

カフェは小さなビジネスかも知れません。
しかし実は大きなビジネスなのです。
それはこのビジネスを通じて文化を創り出すからです。
文化こそ人間が生み出した最高で最良の良心です。
人がこの世にある限りカフェは生き続けます。
心から申上げます。
ありがとうございました」


謹告…長い間のご愛読ありがとうございました。
     本編はひとますこれで終了させて頂きます。
     第126回〜第130回にて
     「キャリオカ」の開店の企画書を同時に掲載し、
     最新のカフェ情報をお送りし、
     連載を終了させていただく予定です。

     今回ご紹介しました「キャリオカ」は実在しませんが、
     そのモデル店になっているお店は恵比寿の西口駅前にある
     今年の3月の終わりにオープンした二毛作型店舗
     「マリナーズ」となります。


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