第25回
契約書に使う印鑑は、本当は何でもいいんです。

銀行などの金融機関から借り入れをするときには、
実印か銀行印を押すのが普通です。

実印は、その印影(印鑑を押した形)を登録した印鑑のことです。
そういう意味では、会社の実印も個人の実印も同じです。

しかし、個人の実印は、市町村区に届け出をしますが
会社の実印は、市町村区ではなく、法務局に届け出をします。

実印というのは、本人が本人の印鑑であることを役所に
届け出てありますから、後で、この印鑑は、本人の印鑑であることを
役所が証明してくれるわけです。

この証明書が印鑑証明書です。
個人と会社では印鑑証明書を発行してくれる場所が異なりますから
注意してください。

契約書には、本来、署名だけあれば十分です。
外国ではサインだけが普通です。
でも、日本の慣習では署名の後に印鑑を押すことになっているのです。

法的には、署名があれば契約は有効なので、
契約書に押す印鑑は実印だろうが三文判だろうがどちらでもよいのです。

ただ、三文判であると、他人が買ってきて使うことができますから、
後からそんな印鑑は持っていないから契約するはずがないなどと
裁判で争われる可能性が出てきてしまいます。

実印を使えば、その署名者の印鑑であることは役所が証明してくれる
のですから、今度は、その印鑑の持ち主が契約をしていないと争う場合には、
誰かが勝手に実印を使ったということを証明しなければならなくなるわけです。

実印が押してあると、後で裁判となったときに、
よほどのことがない限り、本人が契約をしたと判断されるわけです。

だから、重要な契約には実印を使用するわけです。

銀行との取引では、銀行取引印を届け出て、それを使用することになります。
理屈は実印の場合と同じです。

要するに、法律上は、署名だけで十分だけれども
後で、相手方に私が契約したのではないと言われないために、
実印や銀行印が契約書に使われるわけです。


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2002年10月1日(火)

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