第42回
銀行は抵当権で回収できなかった不足分についても
さらに請求することができます。

銀行からお金を借りるときには、
普通、自宅や会社の持ちビルなどに抵当権を設定されて、
約束どおり返済できないと、抵当権を実行されて、
自宅や持ちビルなどは競売で
売却されてしまうという話をしました。

さて、自宅や持ちビルを売却して全額返済できれば、
自宅や持ちビルはなくなったけれど借金もなくなって、
また一から出直しだということになります。
でも、自宅や持ちビルを売っても
全額返済できない場合はどうなるでしょうか?

日本の法律の場合、抵当権を実行して回収できなかった不足額は、
全額借主に請求できます。
日本が右肩上がり経済を続けてきたころは、
あまりこのような問題は起こりませんでしたが、
デフレ経済となって、地価がどんどん下がってくると、
この問題があちこちで見られます。

Qさんの自宅が3億円の評価がありました。
銀行は7割の評価で2億1000万円をQさんに貸しました。
10年かけて、元本7000万円を返し、
残元本1億4000万円となったところで、
Qさんは事業が行き詰まって返済することができなくなりました。  
銀行は抵当権を実行しましたが、バブル経済崩壊後、
Qさんの自宅は値下がりし、1億円でしか売却できませんでした。

この事例で、4000万円の借金は残ってしまい、
Qさんは、自宅の他の財産があればその財産から
返済しなければならないのです。
外国では、抵当権を設定したらその実行で回収できた範囲でしか
返済を受けられないという法律の国もあり、
あるいはそういう内容の契約にしている銀行もあるそうです。

日本では、法律上は、そうはなっていませんから、
銀行との契約でも、そうはなっていないのが普通です。
ただ、最近は、ノンリコース型といって、
抵当権の実行で回収できなければ
その不足分は請求しないという契約を結ぶ銀行もあるようです。
インターネットで検索したら外資系の銀行でした。
日本の銀行はまだまだのようです。


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2002年10月24日(木)

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