第41回
公正証書は判決の代わりになります。

公正証書とか、公証役場って言葉を聞いたことがありますか?

公正証書というのは、簡単に言うと、
公証役場へ行って、公証人という人に、
内容を確認して作ってもらった書面のことです。
この公正証書は、2つの場面で大きな効力を発揮します。

1つは、「遺言」を作成するときです。
そう言えば有名なドラマの最終回は「遺言」でしたね。
もちろん遺言は、本人が自分で書いても有効です。
しかし遺言書を本人が自分で書くと、
本当に自分で書いたのか、偽造でないのか、
誰かが無理やり書かせたのではないかなどなど、
本人が亡くなってしまってから、
残された親族間で争いが生じます。

そこで、公証役場で公証人の前で、
本人が遺言の内容を話しそれを書面化してもらうという方法が
認められています。これが公正証書遺言です。
公正証書遺言にしておくと、
先ほど書いた紛争が事前に解決されます。

もう1つの公正証書の大きな機能は、
お金の支払いについて公正証書にしておくと、
判決の代わりをするということです。
前回、原則として判決がなければ
、相手方の財産を差し押さえることができないと説明しました。
ところが、お金の支払いについて公正証書にしておくと、
裁判をして判決を取らなくても公正証書に基づいて、
相手方の財産を差し押さえることができるのです。

90万円を超える請求の裁判をするには、
会社では代表取締役本人がするか、
弁護士に任せるしかありません。
しかも、どんなに早い裁判でも、訴えを起こしてから、
判決を取るまでに一ヶ月以上かかります。
事前に公正証書にしておくと、
この費用、労力、時間が節約できるのです。
だから、お金を借りる金銭消費貸借契約書の中に
「この契約を公正証書にすることを承諾する」
という条項があったり、お金を借りるときに
公正証書作成委任状に署名させられることがあります。

これらは、事前に公正証書を作成しておいて、
いざとなったら裁判をすることなく、
財産を差し押さえようという目的からなされているのです。


←前回記事へ

2002年10月23日(水)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ