第57回
不良債権処理は借り手も貸し手も損をします。

最近、ニュースを賑わせている
不良債権処理について説明します。
不良債権とは、
銀行から見て約束どおり返済が見込めない債権のことです。
借り手の収益から見て、
とても利息と元本の返済はできないだろうし、
かといって、担保に取った不動産を売却しても
約束どおりの元本と利息の支払には足らない、
こういう債権が不良債権なのです。

以前お金を借りる際に銀行は、
会社の利益から返済できるか検討し、
さらに不動産を担保に取って
不動産の価値の7割くらいしかお金を貸さないと言いました。
そこまで厳しい条件で貸していて
どうして不良債権が社会問題に発展するまで
大きくなってしまったかというと、
バブル経済時代に会社の収益や不動産の評価をするときに、
そのときの収入や評価がずっと続く、
あるいは、それ以上に収入が多くなったり
土地が値上がりするという計算でお金を貸したからです。
現実は、収入は少なくなるし、土地の評価も下がっています。

例えば、1億円の評価をした不動産を担保に
7000万円を貸したとします、
現在の評価が3000万円では担保不動産を売却しても
4000万円が残ってしまいます。
収入も、当時は利息を支払っても利益があったけれど、
現在は、利息を払うのがやっとだとすれば、
元本の返済はできないわけです。
バブル経済崩壊後、このような会社や人が増えています。
だから約束どおり、
利息や元本の支払ができなくなった会社や人が多くなった、
即ち不良債権が大きくなったわけです。

なぜ、不良債権の処理が必要だと言われているかというと、
銀行が不良債権の処理にお金や労力をかけていると、
銀行に資金的にも人材的にも余裕がなくなり、
新規の産業などにお金を貸すことができなくなって、
日本経済が衰退してしまうからなどと言われています。

では、どうして銀行が不良債権処理をやらないのかというと、
不良債権を処理すると損するからです。
それについてはまた明日。


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2002年11月14日(木)

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