第56回
破産にもお金がかかります。

会社の再建にはお金がかかるという話をしました。
破産する場合にもお金がかかります。
会社の再建は、会社がこれから生き残っていくための費用だから
わかるけど、破産はもう支払うお金がないから破産するのに、
それでもお金がかかるのか、なんて思いませんか?
でも、お金はかかります。
弁護士業界では、破産の費用を葬式費用なんて言っています。
要するに、人は死んでもお葬式にお金がかかるわけで、
破産は、会社の死ですから人の場合と同じように
お金がかかるということです。

会社でなく、人の破産の場合には、
免責を受けるために破産するという話をしました。
免責を受けると返済の義務が無くなります。
借金がチャラになるわけです。
何千万円、何百万円という借金が消えてなくなるわけです。
借金を全額返すと思えば、
多少費用がかかってもかなりお得な手続きだとは思いませんか?

実際いくらかかるか説明します。
以前、会社再建の場合は、3億円の負債があったとすると、
1000万円は必要になるという話をしました。
負債総額3億円の会社が破産する場合には、
裁判所に納める費用が約200万円必要になります。
これは、会社の財産を売却したり、
経営者が財産を隠していないかあるいは、
債権者の債権額が正しいかなどを調査して、
最終的に債権者に配当をする管財人という人の費用になります。
財産がなかったり、債権者が少なかったりすれば、
この額は安くなります。
財産がない会社では、20万円で済む場合もあります。
それから弁護士費用がかかります。
弁護士によりますが200万円以下だと思います。
破産の申立の方が会社の再建に比べて楽ですから、
50万円とか100万円で受ける弁護士も多いと思います。

人の破産の場合は、財産が何もなく、
免責に問題がないようなケースでは、
裁判所に納める費用が約2万円、
弁護士費用が20万円から30万円かかります。

会社でも個人でも、
破産するにもそれなりのお金が必要になります。
会社も人も葬式費用を残しておくことが必要なのです。


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2002年11月13日(水)

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