第79回
遺産分割後に判明した借金については相続放棄ができません。

先週の宿題は、
相続後遺産分割して数年経ってから、
実は故人がプラスの財産を
上回る額の借金を抱えていたことが判明しました。
この場合相続の放棄ができる。
○でしょうか?×でしょうか?

という問題でした。

みなさんは、どう考えましたか?
これはなかなか難しい問題です。
読者の方から似たような質問が来たので
取り上げることにしました。

相続後遺産分割をしていますから、
相続財産を処分したこととなり、
相続放棄はできません。
したがって、答えは×です。

とすると、個人が亡くなってから3ヶ月間調査したけど
借金を負っていることはわからなくて、
その額がわかっていれば、
相続の放棄をしていたという場合にも
相続放棄ができなくなってかわいそうな気もします。
だから、なかなか難しい問題なのです。

これと似た事案で、
相続財産(プラスもマイナスも含みます)が
全くないと思って、
相続放棄も限定承認も何もしないで3ヶ月過ぎたら、
後から借金の請求が来たケースについては、
最高裁で、相続財産がないと信じたことに
きちんとした理由があれば、3ヶ月過ぎていても、
その借金を知ったときから3ヶ月以内に
相続放棄や限定承認をすればよいとされています。
そういう場合は相続の放棄を認めてやらないと
かわいそうということだと思います。

でも、この判例は、
相続財産が全くなければ相続放棄も
限定承認もしないのが普通だから
という考え方に基づいているようで、
相続財産が全くないと思った場合に限定されています。
だから、宿題のケースでは、
相続財産があり遺産分割までしているので、
後から出てきた借金なのでかわいそうではありますが
相続放棄や限定承認をすることはできません。
故人が借金を残していないか、
誰かの連帯保証をしていないか
よく調査する必要があります。
万が一の場合に備えて限定承認をした方が
よい場合もあるかもしれません。

不幸にして、宿題のケースに当たってしまった方は、
諦めるか最高裁まで争って判例を変更するほかありません。


←前回記事へ

2002年12月16日(月)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ