第84回
東京の弁護士会は会長選挙が元で分裂しました。

あけましておめでとうございます。

ちょっと、遅いかもしれませんが、
みなさんも今日から仕事始めですよね。

今年も毎日、僕の講義にお付き合いください。
さて、去年の最後の宿題は、
東京には、東京弁護士会(東弁)、
第一東京弁護士会(一弁)、
第二東京弁護士会(二弁)と弁護士会が3つあります。
ちなみに、僕は以前二弁にいましたが、
現在は一弁にいます。
1.これは、メジャーリーグ、マイナーリーグ、
  ルーキーリーグのように実力で分かれている。
2.これは弁護士の年齢で分かれている。
3.これは弁護士会の会長選挙がもとで分かれている。
4.これは事務所のある地域で分かれている。
○でしょうか?×でしょうか?

というものでした。

東京の弁護士会は、実力で分かれているわけでもなく、
年齢で分かれているわけでもなく、
地域ごとに分かれているわけではありません。
会長選挙が元で分裂してしまいました。

したがって、答えは×××です。

弁護士会は、弁護士法に基づいて作られている特殊法人で、
弁護士法では1地方裁判所に
1弁護士会を作ることとなっています。
地方裁判所は、北海道を除いて、
1都道府県に1地方裁判所ですから、
実際上は、1都道府県に1弁護士会ということになります。
東京と北海道以外の方は、
自分の住んでいる都道府県には1つの弁護士会しかないはずです。
北海道は4つの地方裁判所があるので
弁護士会が4つあっても弁護士法の原則どおりです。

東京も、もともとは東京弁護士会の1つしかありませんでした。
それが、大正時代に会長選挙で負けた方が新しく
第一東京弁護士会を作りました。
このままでは、2つの弁護士会の対立状態が続いて
好ましくないことからこの対立を解消しようとして
第二東京弁護士会が作られました。
このように大正時代に東京の弁護士会は3つできて、
現在もそのままです。
「三国志」みたいで、冗談のようですが、本当の話です。

今の弁護士法は、第二次大戦後に作られました。
そこで、東京の弁護士会も1地方裁判所に
1弁護士会という規定に基づいて1つになるはずでした。
ところが、反対した弁護士がいたため、
弁護士法には、例外的に今複数ある弁護士会は
そのまま存続してよいという規定が設けられたのです。

1地方裁判所1弁護士会という規定は、
1地方裁判所の地域内に関しては1つの弁護士会が
責任を持って活動するために設けられました。

ところが、東京は3つあるために、
交渉や協力の相手方となる裁判所、検察庁、
あるいは東京都、区や市、
それから市民にとってはわかりづらくなっています。
だって、東京都が、第一東京都、第二東京都、
第三東京都に分かれていたら、(面白いけど)、
何かあったときにどこに行ったらわからないでしょ。

だから、東京の弁護士会も1つであるのが当然で、
1つにしようと運動している弁護士もいるけど、
弁護士であっても現状維持が好きなのか、
反対する人、無関心な人が多く、
弁護士会の分裂状態は、大正時代から変わりません。


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2003年1月6日(月)

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