第85回
事務所を借りる契約は建物賃貸借契約と言います。

長い間「お金を借りる」の講義をしてきましたが、
今日から「事務所を借りる」です。

事業を始めるとき、
事務所を借りて始めるのが普通でしょう。
今はSOHOで、自宅で始める人も多いですが、
その自宅も賃貸で借りている人も多いと思います。

事務所を借りるときには、
まず、場所、立地条件、建物の間取り、
それと家賃とを比較して、借りるか借りないかを決めると思います。
契約書は、あまり読まずに仲介に入った
不動産屋の言うとおりに印鑑を押すだけでしょう。
でも、お金はどのお金も同じで、借りた後は返すだけですが、
事務所はどの事務所も同じでないし、
使用方法も人によって違うし、
返還方法もただ返せばよいわけではありません。
だから、「事務所を借りる」契約の方が
「お金を借りる」契約よりも問題は多いです。
では、これから「事務所を借りる」に関する法律について
講義をして行くことにします。

さて、「事務所を借りる」のも契約です。
「お金を借りる」契約の名前は、みなさん覚えてますか?
「お金を借りる」契約は、
お金を使ってしまうことを前提に貸し借りする契約だから、
「金銭消費貸借契約」というのでしたね。
「事務所を借りる」契約は、
建物を賃料を支払って貸し借りする契約なので、
「建物賃貸借契約」と言います。
借りる事務所は1部屋だけ、あるいはワンフロアだけで、
建物1棟でなくても、建物賃貸借契約です。

ちなみに、事務所をただで貸してもらう契約は、
「建物使用貸借契約」と言います。
有料で貸し借りする契約を「賃貸借」、
無料で貸し借りする契約を使用貸借と言うのです。
この「建物賃貸借契約」については、
これまで貸主の力が断然強かったので、 民法の他に、
借主を保護する「借地借家法」という法律が適用されます。


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2003年1月7日(火)

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