第90回
借主の預けた敷金・保証金は前の借主に返還されています。

みなさんが事務所を借りるときに
貸主に担保として預ける多額の敷金・保証金ですが、
貸主はそのお金をどうしているか知っていますか?

定期預金にしていてくれれば安全ですが、
大抵は、建物の建設資金の返済や
前の借主への保証金の返還に当てられています。
これは、おおよそこういう仕組みです。

まず、貸主は、借金によってビルを建てます。
ビルが建ったら借主を募集して、
借主から敷金・保証金を預ってその返済に当てます。
預ったお金を使ってしまって大丈夫なのか?って思いますよね。
でも、大丈夫なのです。

まず、これまでは貸し手市場でしたから、借
主は一度借りたらなかなか出て行かない、
出て行かれても、すぐに新しい借り手が見つかったのです。
借り手が出て行かなければ、敷金・保証金は
返還する必要はありません。
だから、預り金と言っても返さなくてもいいわけです。

万が一、借主が出て行くことになった場合には、
新しい借主を見つければいいわけです。
新しい借主が見つかれば、新しい借主が
敷金・保証金を入れてくれますから、
その敷金・保証金を前の借主に返還すればいいのです。
その新しい借主が万が一出て行くことになった場合には、
また、次の借主から預かった敷金・保証金で、
出て行く借主に返還すればいいわけです。

ビルが貸し手市場で、
いつでも、以前預かった敷金・保証金以上の額の
敷金・保証金を預けてくれる借主が見つかる状態であれば、
預かった保証金は定期預金にしていなくても、
何とかなってしまうわけです。
でも、それは貸し手市場で、借主がいつでも見つかり、
賃料や敷金・保証金の額が 下がらない
という前提があってはじめて成り立ちます。

今の世の中は、そういう前提になっているでしょうか?
なっていませんね。そこで、敷金・保証金の返還について
問題が出てきます。
それについては、また、明日。


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2003年1月14日(火)

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