第95回
建物賃貸の仲介手数料には疑問があります。

前回、建物賃貸の仲介手数料は、
借主のみが負担しているということをお話しました。
仲介だから、貸主も借主が見つけられて利益を得ているし、
借主も事務所・店舗が見つけられた
という利益を得ています。
とすれば、仲介手数料は、貸主・借主が
半分ずつ負担するという法律上の原則が合理的でしょう。
みなさんも、前回の説明でそう思ったのではないかと思います。
それ以外にもおかしいと思う理由があります。

不動産屋さんが店先に掲示してある
事務所や店舗などについては、
その不動産屋さんが
事務所や店舗の管理を任されているケースがほとんどです。

不動産屋さんは、借主を探すこと、
借主が賃料を支払えるかの審査、
建物賃貸借契約書の作成、
契約後は賃料未払いのときの請求、
借主が出て行ったときの原状回復工事の手配、
敷金・保証金の返還、その他借主とのトラブルの折衝などなど、
貸主から手数料をもらって、
貸主のために管理をしているわけです。
もちろん、そのこと自体は問題ありません。

でも、どうして貸主から管理手数料をもらって
貸主のために仕事をしている不動産屋さんに、
借主は仲介手数料を支払わなくてはならないのでしょうか?
仲介という名前ですが、実質的には、仲介ではなく、
不動産屋さんは貸主の代理人なのではないでしょうか?

後で説明しますが、
建物賃貸借で問題となっていることに原状回復費と
敷金・保証金の返還の問題があります。
建物賃貸借契約上は、
ほとんど貸主に有利な規定となっています。
そして、その規定を作ったのは不動産屋さんなのです。
貸主に有利な契約書を結ばせて、
借主からも仲介手数料をもらうのは
何かおかしくありませんか?

ちなみに、弁護士は相手方から
お金をもらうことは禁止されていて
弁護士資格を失ってしまいます。
こんなこと言うと、高島弁護士は
貸主や不動産屋の敵だなんて思われそうですが、
そうではありません。
現に、貸主や不動産屋さんの代理人もしたことがあります。
表面的なところでなく、
そこまで深く考えて問題を処理する弁護士だ
というところをわかって欲しいものです。


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2003年1月21日(火)

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