第124回
訴訟の中でも話し合いによる解決はできます。

先週の宿題は
訴訟を起こした場合には、
話し合いで解決する余地はなく、
必ず判決で解決することとなる。
○でしょうか? ×でしょうか?

という問題でした。

答えは、×です。実際は、訴訟になっても
話し合いで解決するケースがかなりあります。
訴訟になったからと言って、
必ず判決で白黒つける解決しかないわけではないのです。
それでは、なぜ、こんな宿題を出したかと言うと、
僕個人としては、調停は無駄な手続きと思っているからです。

この調停というのは、基本的には、話し合いの手続きです。
裁判所で、調停委員という人を間に立てて、
当事者が話し合いをするのです。
取りあえず、弁護士を付けずに当事者同士で
話し合いをしたいという場合には、
裁判所(調停委員)が間に入ってくれますから、
当事者だけで話し合うよりは意味があるかもしれません。
しかし、所詮話し合いですから、
こちらの主張が正しくても
相手がどうしてもいやだと言った場合には、解決しないのです。
解決しないとどうなるかと言うと、
訴訟を起こさなければなりません。
調停は、強制的に紛争を解決する手続きではないからです。

訴訟では、これまで間に入っていた調停委員でなく、
全く別の裁判官が、両当事者の主張を聞き
証拠を見ることになります。
要するに始めからやり直しなのです。
散々、お互いの言い分を言い合って、
話し合いが決裂してしまうと、
一からやり直しになってしまうのでは、
これまで何のために話し合いをしていたか
わからないということになりかねません。
でも、調停ってそういう制度なのです。

ここで、宿題の話に戻ります。
訴訟の中でも、話し合いで解決できるのであれば、
最初から訴訟を起こして、
その中で話し合いをした方が効率的だと思いませんか?
もちろん、訴訟では、
話し合いがつかなければ判決ということになり、
最終的な解決を図ることができます。
だから、僕は調停は無駄と考え、
普通の事件で調停を申立てることはしません。
でも、賃料減額や離婚・遺産分割では、法律で、
まず調停を申立てなければならないとされていますので、
それに従っているわけです。


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2003年3月3日(月)

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