第129回
普通の建物賃貸借契約は期間が満了しても終了しません。

先週の宿題は
建物賃貸借契約では期限が来たら、
貸主と更新契約を結ばない限り、
出て行かなければならない。
○でしょうか?×でしょうか?

という問題でした。

これについては、以前、
第104回「普通の建物賃貸借契約(借家契約)の保証人」
のところで、ちょっと説明したように、
普通の建物賃貸借契約は、期間満了によって、
当然に終了するわけではありません。
定期借家契約では、期間満了によって、
契約が当然に終了します。
そこで、問題の「建物賃貸借契約」が
定期借家契約であれば○で、
普通の建物賃貸借契約なら×ということになります。
ところが、問題では、どちらの賃貸借か特定していません。
2種類の建物賃貸借契約の両方が
期限が来たら更新しない限り
明け渡さなければならないわけではありません。
だから、答えは×です。

普通の建物賃貸借契約では、
貸主が期間の満了を理由に賃貸借契約を終了させようと思ったら、
まず、期間満了の1年前から半年前の間に、
期間が満了したら更新しないことを
借主に通知しなければなりません。
ただし、通知すれば、どういう場合でも
期間満了による明け渡しを求めることが
できるわけではありません。
更新しないことに正当な理由がなければならないのです。

例えば、貸主が自分あるいは子供がそこを事務所や
住居として使用する必要が生じたこと、
立ち退いてもらう場合には借主に対し
相応の立退料を支払う提案をしていることなどです。
正当な理由を判断するには、
借主が他に移転可能なのかなど
借主の事情も合わせて考慮されます。

そこで、実際上は、この正当理由はなかなか認められないので、
普通の建物賃貸借契約は半永久的に続いていくのです。
だから、普通の賃貸借契約で事務所や店舗を借りている方は、
貸主から期間満了を理由とする明渡請求が来ても
そんなに心配することはありません。


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2003年3月10日(月)

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