第128回
ベテラン弁護士がいいとは限りません。

先週、値段が高い弁護士の話をしました。
そこで、ちょっとベテラン弁護士の話をしました。
もちろん、これからする話も含めてベテラン弁護士が
すべてそうだと言うわけではありませんので、
誤解のないようにしてください。

法律の世界や、裁判の世界は、
人生経験や事件処理の経験がものを言うので、
経験豊富なベテラン弁護士に依頼した方がよい
と考える人が多いでしょう。
異業種交流会で初めてあった方に
そういう風に言われることもあります。
実際そういう面もなくもありません。
でも、世の中の経済情勢や人の意識が変われば
事件の処理方法も変わりますし、
法律自体も、判例も変わります。
取引の仕組みも変わります。
そうすると、以前の経済情勢や慣習や意識等の下で、
以前の法律・判例の中で解決した経験は
あまり役に立たなくなってきます。

会社経営の基本となる商法は、ここ5年くらいで、
それまで基本とされていたことも含めて改正されていますし、
よく聞く会社再建のための民事再生法も
最近できた法律です。
訴訟の基本である民事訴訟法も改正されました。
これらの新しい法律を追いかけてきちんと勉強していないと
会社の相談にはのれないことになります。

新しい法律を追いかけて学ぶことは
若い(?)僕でもなかなか大変なことです。
過去に築いた信用と人脈で何もしなくても十分収入のある
ベテラン弁護士が
忙しい仕事の合間を縫って
新しい法律や判例を日々勉強しているとも限らないわけです。
また、ベテランの弁護士は、
大部分をインフレの中で事件を処理してきました。
ところが今はデフレです。
以前は、紛争を長引かせると土地が値上がりして
解決してしまったということもあります。
しかし、今はデフレで、紛争が長引けば長引くほど
損がどんどん膨らんでいきます。
だから、今は少し損をしても
早期に解決した方が得になるわけです。

もちろん、紛争解決には経験が役に立つ場面も多いのです。
ただ、紛争の解決は事実関係と法律・判例の理屈です。
そして、世の中の仕組みや法律・判例は
どんどん新しくなっています。
だから、世間で思われているほど
ベテラン弁護士がいいというわけでもないのです。


■今週の宿題■
建物賃貸借契約では期限が来たら、
貸主と更新契約を結ばない限り、
出て行かなければならない。
でしょうか?×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


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2003年3月7日(金)

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