第140回
勝手に処分するのも違法です。

昨日、ロックアウトの話をしました。
店舗や事務所の紛争で、いきなり鍵を変えてしまう。
そんなこと、また弁護士さんが作って。って思いましたか?
でも、実際そんな荒っぽいことをする不動産屋さんや
大家さんがいるんですよ。
私の相談を受けたケースは、一般の住宅もありますが、
店舗でもありますね。

さて、今回は、貸主が勝手に建物の中の物を
処分してしまうという話です。
どうして、こんなことを貸主がするかというと、
契約書に書いてあるからです。
「賃料を支払わなかったり、
一定期間連絡が取れなくなったりした場合には、
契約を解除し、解除から一定期間のうちに
借主が明け渡しをしない場合には、
借主は建物の中の物の所有権を放棄する。
借主は建物内の物を処分されても異議を述べない」
という条項が入った契約書もあるんです。

貸主からすると、
契約書にしたがってやったことが
なぜ悪いということになります。
しかし、これと同様のケース裁判で、
契約書に従って建物の中の物を処分してしまった貸主側が
負けてしまった裁判があります。
貸主は借主に対し処分した物について
賠償責任を負うこととなってしまったのです。

契約書の内容を優先するか、
自力救済禁止を優先するか、
なかなか難しい問題です。
僕は貸主側の相談にも乗りますが、
ほんとひどい借主もいますから。

でも、この判例があるので、
借主としては、契約書に書いてあっても、
勝手に処分できないと主張すべきでしょう。
貸主としては、勝手に処分した場合には、
損害賠償請求されるリスクを負うということになります。
契約書に条項があっても、最高裁まで争って、
判例を変更するくらいの覚悟がなければ
貸主が借主の物を処分することはできないということです。


←前回記事へ

2003年3月25日(火)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ