第169回
「物を売る」は代金をもらって初めて売ったことになります。

どんな事業でも、物を売ったり、
サービスを提供したりして、
その対価として代金をもらうのが基本です。

この前説明した、おまけの問題のように、
売り方について法律で制限がある場合もありますが、
実際上弁護士に相談する問題として多いのは
代金の回収についてです。
そこで、「物を売る」では、
主に代金の回収について説明しようと思っています。

物を買ったら代金を支払うのは当たり前です。
だから、商品を売れば普通は代金を払ってもらえると考えて、
一般の会社では商品を売ることに力を注ぎます。
最近の不況では、物がなかなか売れませんから、
ますます商品を売る方に力が入ります。

ところが、不況になると、
売ること自体もなかなか難しくなりますが、
売った後に代金を支払ってもらうことも同時に難しくなります。
不況になると、商品を買った方が
代金を払えるかどうか不安定になるからです。

それに、世の中には、本当に悪い人もいて、
売りたい気持ちを見越して、
最初から代金を踏み倒すことを目的で、
商品を買う人もいます。
不況になり、真っ当な商売で食べていけなくなると
そういう輩も増えてきます。
そこで、商品を売る方は、
「売れればいい」という気持ちで商売をしていると、
思わぬところで足元をすくわれることになります。

事業をやられている方は、
十分ご存知で当たり前のことですが、
代金の支払を受けられないと、
利益が出ないどころか、
仕入れ代や人件費その他の経費が丸々損で
何もしない方がよいということになります。

代金の支払を受けられないと、
いろいろ労力をかけて
相手に商品をあげたことになってしまいます
(もちろん、法律的には売買であって贈与にはなりません)。
代金を回収して、初めて物を売ったことになるのです。


■今週の宿題■
売買契約は、契約書など書面を交わさなくても、
口約束で十分有効である。
でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


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2003年5月13日(火)

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