第173回
契約は口約束でも有効です。

先週の宿題は
売買契約は、契約書など書面を交わさなくても、
口約束で十分有効である。
○でしょうか? ×でしょうか? 

という問題でした。
答えはです。

日本では、契約自由の原則が取られていますので、
基本的に、契約はどういう内容にしようが、
どういう方式にしようが
お互いが納得していればOKなのです。
したがって、書面を交わさなくても、
法律上、契約は有効です。

契約は、売買契約に限らず、
他の契約でも口約束で有効です。
現に、日本の取引の多くが口約束でなされています。
しかし、法律上契約が口約束でも有効であることと、
現実に契約を締結しようとするときに
契約書を交わさなくてもよいということは別です。

当事者間で、契約について争いが生じたらどうなりますか?
最終的には裁判となります。
裁判になればどうなるかと言うと、
どういう内容の契約が成立したということを
契約にしたがって代金の支払いや
商品の引渡を求める方が立証しなければなりません。

例えば、代金について、代金を請求する側は、
商品の代金は300万円だと主張し、
代金を支払う側は、
商品の代金は250万円だと主張するとします。
裁判では、300万円の代金を請求する方が
代金300万円で相手方が承諾したことを
証明しなければなりません。
相手方は代金が300万円であることを
争っているわけですから、
裁判で300万円だと承諾したことを
認めるはずはありません。
すると、一方は「承諾した」、
他方は「承諾していない」という
いわゆる「言った」「言わない」の話になり、
なかなか裁判では代金について300万円である
という口約束が成立したと認められることは少ないです。

口約束の契約が有効だとしても、
争いになると、立証の問題が出てきてしまい、
口約束の場合には立証することがきわめて難しいのです。
そこで、法律上、契約が口約束で有効だとしても、
契約書を交わす必要があるのです。


■今週の宿題 ■
よく契約で出てくる署名捺印は
自分で書いて印鑑を押すこと、
記名捺印は自分以外が書いて
印鑑を押すことである。
でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


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2003年5月19日(月)

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