第175回
発注書や注文書をもらいましょう。

昨日、見積書や請求書では、
裁判上請求する側に有利な証拠とはならないから、
見積書や請求書で債権を管理することは
間違いだという話をしました。
では、どうすればいいかと言うと、意外と簡単です。
なぜ、見積書や請求書ではだめだったかを考えればわかります。

裁判では、相手方がその代金を認めた
という証拠が必要になるにもかかわらず、
見積書や請求書は代金を請求する方が
一方的に作成しているから
証拠として役に立たないということでしたね。
だから、相手方から、注文を受けるときに、
その代金でいいということを
文書でもらえばよいということになります。
その文書がきちんとした形を取れば、
契約書ということになります。

契約書は、売主、買主の
契約当事者双方の署名が必要となります。
しかし、訴訟上必要なのは、
相手方(買主)が代金を認めたという証拠なのです。
だから、相手方だけの署名や記名捺印があれば十分です。

したがって、契約書を交わすのであればそれでもいいのですが、
債権管理ということで代金のみを重視するのであれば、
簡略化して、相手方から
発注書や注文書をもらえば十分なわけです。

見積書や請求書と発注書(注文書)は、
書類的には同じように見えますが、
法律上や裁判上は全く意味が違います。
見積書や請求書でも裁判で勝つ場合がないとは言いません。
しかし、相手の財産を処分されないために
訴訟の前にする仮差押という手続(後で説明します)では、
請求書や見積書だけでは仮差押は(ほとんど)認められません。
だから、「物を売る」際には、
発注書(注文書)をもらい、
債権管理も発注書や契約書で行なうようにしましょう。


■今週の宿題 ■
よく契約で出てくる署名捺印は
自分で書いて印鑑を押すこと、
記名捺印は自分以外が書いて
印鑑を押すことである。
でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


←前回記事へ

2003年5月21日(水)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ