第182回
どの弁護士もよく知っている法律は司法試験の受験科目です。

金曜日は「弁護士の話」です。
以前、弁護士は、法律の専門家で、
一般に問題となる法律については知っている(はず)
という話をしました。
でも、実際となると、
弁護士もすべての法律について
詳しいということはありません。

どの弁護士も司法試験に合格しているので、
司法試験の受験科目は詳しいことになります。
それ以外の法律については、
試験などによる能力チェックを受けていないので、
弁護士の意欲や関心、経験などによって
差が出てくる分野となります。

専門の基準を他の弁護士と差がある法律分野とすれば、
受験科目以外の法律ということになるかもしれません。
そこで、司法試験の受験科目について、
説明したいと思います。

司法試験の受験科目は、現在、
憲法民法刑法
商法民事訴訟法刑事訴訟法の6科目です。
いわゆる六法です。
六法については、第19回で説明しています。

貸し金の問題から売掛金や不動産や事故、
相続の問題まで、普通の民事のトラブルは
この民法と商法で解決することができますから、
弁護士はその範囲では詳しいわけです。

僕が司法試験に合格したころの受験科目は、
訴訟法は民事訴訟法か刑事訴訟法か
どちらか1つを選択すればよく、
もう1つは、労働法や破産法、行政法などから
選択することとなっていました。
このときに、労働法を選択して合格した弁護士は、
労働問題に詳しいでしょうし、
破産法を選択すれば破産手続きには詳しい
ということになるでしょう。
司法試験のときに選択しなかった人は
弁護士になってから勉強しないと
詳しくはならないということになります。

さて、僕はどうかというと、
国際私法という科目を選択しました。
国際私法という名称の法律はありません。
「法例」という法律が国際私法に当たります。
「法令」ではありません。

内容はどういうものかというと、
日本の会社と中国の会社が取引した場合
どこの国の法律で裁判をするのか
という問題を取り扱っています。
どこの国の法律が適用されるかがわかっても、
その国の法律の内容まではなかなかわからないので、
今のところあまり仕事には役立ってないですね。
日本に住んでいて国籍が韓国・朝鮮の方の相続や
国際結婚で離婚する場合などの相談を
受けるくらいですかね。


■今週の宿題 ■
株式会社や有限会社に売掛金を持っているときには、
会社の決算書(貸借対照表や損益計算書)を
見せるよう要求することができる。
でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


←前回記事へ

2003年5月30日(金)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ