第215回
法的措置の典型は訴訟をすることです。

弁護士から代金などの支払いを請求する
内容証明郵便を受け取ったことがある人は、
内容証明郵便の最後に、
「いつまでに支払わないと法的措置を取ります」
と書かれているのを見たことがあると思います。

見たことがない人が見ると脅しにも思えますが、
昨日説明したとおり、
交渉で解決しなければ
法的措置により解決するというのが、
法律上のルールですので、
当たり前のことを書いただけの話です。

この法的措置というのは、
詐欺のような場合には刑事告訴も含みますが、
普通の代金の未払いの場合は、
代金の支払いを求める民事訴訟ということになります。

この民事訴訟は、
いくら支払えという債権額の内容を
判決で確認してもらうとともに、
判決に基づいて
強制執行をできるようにするために行います。

相手も訴訟を起こされた場合、
請求する側が回収について本気だということがわかるし、
放置しておけば判決を取られて
強制執行されてしまうことなどから、
訴訟の中で、分割払いの合意ができるなどして
解決できることも多いです。

相手方が裁判に出てこなければ、
相手がこちらの主張を全面的に認めたことになりますから、
代金を全額支払えという判決が出ます。
これが、よく聞く欠席判決というものです。
この場合請求の裏づけとなる証拠は不要です。

しかし、相手方が裁判に出てきて、
商品は受け取っていない、
あるいは請求書は後から来たもので
金額が違うなどと言われる場合があります。

この場合、立証責任は、
代金を請求する側にありますから、
請求する側でその裏づけとなる証拠を
提出する必要があります。
いつも言っているように発注書や契約書、
商品の受領書がその証拠となります。

これらがない場合、
前後の交渉の状況やファックスのやり取り、
手帳のメモや経理上の帳簿、
関係者の証言など状況証拠から立証することになりますが、
これらは労力や時間がかかる割に、
裁判上有効な証拠として認められないことが多いです。


■今週の宿題 ■
Aが取引先Bに対し100万円の売掛金を持っています。
取引先Bがお金を持っていないけれども
Cに対して売掛金100万円を持っていた場合、
AはBに代わって、Cに対し
Bの100万円の売掛金請求権を行使することができる。
でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


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2003年7月16日(水)

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