第221回
名前は変わっても実態が同じ場合にも
請求することができる場合があります。

昨日、A社に対し、売掛金を持っていたので、
取立てに行ったところ、
「ここはB社が経営をしているので、A社とは関係がない」
と言われても、
A社とB社の名前が同じかほぼ同じ場合、
会社名が違っても、店舗の名前が同じ場合には、
A社の債権者に対する支払義務を
B社が引き継ぐ場合があるというお話をしました。
これを、「商号続用による営業譲受人の責任」
(商法26条)と言うのでしたね。

今回は、同じようなケースで、
A社とB社は、名前こそ違うけれども、
従業員も役員もほとんど変わらないような場合には、
A社の債権者は、B社に対し、
売掛金を請求することができるという話です。
これを、「法人格否認の法理」と言います。
名前はちょっと難しそうですが、
内容はそんなに難しくはありません。

売掛金の請求を免れようとして、
別会社を作ったとしても、
中身が同じであれば、
請求は免れられないということです。

A社の債権者がB社に請求できないのは、
A社とB社は別会社だからですが、
このことを法律上、別法人と言います。
この別な法人格を否定して、
同じものとして扱うというのが
「法人格否認の法理」というわけです。

A社とB社で
(1)実質的に新会社の設立資金を出している人
(2)会社の運営について決定権を持っている人
(3)商号、本店の所在地、営業目的、代表取締役、取締役、
営業場所、什器備品、得意先、仕入先、従業員など、
営業の形態や内容がほとんど同じで、
莫大な負債を負ったA社が休眠状態で、
新会社であるB社のみ営業を続けているというような場合は、
「法人格否認の法理」が認められます。


■今週の宿題 ■
債務者の財産を差し押さえした場合、
最初に差し押さえた人が
他の人に優先して弁済(返済)を受けることができる。
でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


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2003年7月24日(木)

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