第226回
相手方の店舗にある商品を差し押さえることもできます。

これまで、差押えの対象として、
不動産や売掛金や預金が有効だと説明してきました。
もちろん、相手方が店舗で営業をしているような場合には、
店舗に置いてある商品を差し押さえることもできます。
その日の売上金(現金)もいっしょに
差し押さえることができます。

ただ、取り扱っている商品を差し押さえて
競売にかけたとしても、
大した金額では売れないと思いますし、
店舗においてある1日の売上げも高が知れています。

しかも、商品の差押えをするには、
裁判所の執行官の費用や商品を運び出す人の費用、
運び出した商品を保管する場所の費用などを
用意しなければならず、かなり費用がかかります。
だから、コストパフォーマンスを考えると、
店舗にある商品などを差し押さえるのは
あまり有効な手段ではありません。

しかし、まともな営業をしている事業者であれば、
顧客や従業員のいる前で、
裁判所の執行官や相手方弁護士が
店舗にある商品を差し押さえられたり、
その日の売上げを持って行ったりされたら、
店の信用は丸つぶれとなります。
したがって、商品や店の売上金を差し押さえるのは
相手方に与える打撃は大きいのです。
そこで、まともな営業をしている相手方に対しては
有効な手段となります。

ただ、執行官などの費用がかかりますから、
相手方の状況をよく判断して、
差し押さえるかどうか検討する必要があります。

ときどき相談者から、
事務所や店舗に置いてある机やパソコン
応接セットを差し押さえたいという相談を受けますが、
差押手続上は、ほとんど無価値と判断されることが多く、
差押えに行っても、
執行官が差押えもしてくれないこともあります。
だから、よほど効果があると認められるような場合でない限り、
事務所などの備品類を差し押さえることはお勧めしていません。


■今週の宿題 ■
小売でも、卸売でも、商品の代金は、
2年間で時効にかかってしまい、以後請求ができなくなる。
でしょうか? ×でしょうか?

お答えをお待ちしております。


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2003年7月31日(木)

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