弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第3回
こんなケースで訴えられます。Part2

最近、訴えられるケースの続きです。

【自己の権利主張型】
これまでだったらあまり訴訟になっていなかったのに、
権利意識の高まり、あるいは、価値観の違いから
訴訟になってしまうケースです。

これには、相続、離婚、セクハラ、医療過誤、
発明者の対価請求、名誉毀損などが当たります。

相続については、以前は大体、
長男が財産の大部分を相続する、
あるいは相続させたいという考え方で処理されてきました。
しかし、法律では、どの子供も平等だと定められています。
そこで、親から大部分の財産を相続しようとする長男が
訴えられることが増えています。

離婚も、以前は
女性が1人で生活していくことが困難だったので、
夫の横暴も多少目をつぶっていたということも
あったと思います。
今は、どちらかというと
嫌なことがあったらすぐ離婚という感じもあります。

セクハラなんて、以前はありませんでした。
でも、セクハラという言葉がなかっただけで、
女性に対するセクハラはあったのだと思います。
以前は女性が泣き寝入りをしていたのでしょう。
今は、セクハラで、上司及び会社が訴えられることは
珍しくなくなりました。

医療過誤も、最近新聞でよく取り上げられるためか、
相談も多いです。

発明者の対価請求というのは、
従業員が職務上発明した特許の対価を
会社に請求する訴訟です。
これまでは、発明者は金一封で我慢してきましたが、
特許が何百億円もの利益を生む場合もあり、
金一封ではひどいということで、
従業員が会社を訴えるケースが増えてきています。

名誉毀損についても、これまでは、
有名人や芸能人もあまり訴訟まではしませんでしたが、
マスコミがあまりにひどいという理由で、
訴訟となっています。
インターネットの影響か、
個人や掲示板の管理人が訴えられるケースもあります。
逆に、普通の人なら気にしないと思われる一言を理由に
名誉毀損だと訴訟を起こしてくるケースもあります。

このように、これまでだったら訴訟にならなかったことなのに、
訴訟になってしまうことが増えているのです。
どちらが悪いかは、ケースバイケースで一概には言えません。

ただ、世の中で、訴えられることが増えているわけですから、
みなさん、「訴えられたらどうする?」
ということについて知っておいても
損はないのではないでしょうか?


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