弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第5回
訴えられたときのコメント

よく、世間で注目を集めるような訴訟が
起こされたときに、
訴えを起こされた相手方の
「訴状を見ていないのでコメントできません」
というコメントが新聞に載るでしょう。
みなさんは、このコメントを読んでどう思いますか?

「自分の言い分を言わないのは
訴えを起こした方が正しいからだ」
「取材にきちんと答えないなんて不誠実だ」
などと思いませんか?

このように新聞報道されてしまうと、
どうしても訴えられた方に
非があると思われてしまいます。

でも、訴えるというのは、
裁判所に「訴状」を提出するだけです。
その訴状は、裁判所で形式的なチェックを受けて、
担当部に回されて、裁判期日が決められ、
それから訴えられた方に郵送されますから、
裁判所に訴えが起こされてから
訴えられた方に訴状が届くまでには2,3週間かかります。

ということは、訴えられた相手方は、
コメントを求められたときには、
まだ訴状の内容を見ていないのですから、
どこが違うとコメントのしようがないのです。

ちなみに、民事訴訟では、
訴えた方を原告、
訴えられた方を被告と言います。

新聞は、訴えた方だけの意見を聞いているのではなく、
当事者双方の意見を聞いて
記事にしているということを示すために
訴状の内容のわからない被告のコメントを載せるのでしょうが、
僕は、そのような記事を見る度、
意味がないなと思っています。

ただ、新聞を読んでいる人は、
訴えられた被告に非があるとか
不誠実だという印象を持ってしまいますから、
なるべくコメントをした方がいいと思います。

「当社に責任はないと考えています。
その理由は裁判で主張します。
そのときにはこちらの主張もきちんと報道してください。」
というのはどうでしょうか?

でも、世の中には訴訟がたくさんあって、
普通の人や会社が訴えられたからといって、
まずマスコミが取材に来ることはありませんので、
みなさんが訴えられたときのコメントを
考えておく必要はありませんけどね(笑)。


←前回記事へ 2003年9月16日(火) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ