弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第34回
裁判所では日にちを決めるだけ?

ドラマでなくて、
実際に裁判を見に行ったことがありますか?

第28回「刑事と民事はどう違うか」で説明したように、
刑事と民事は手続的に違うので、
裁判の様子も、刑事事件と民事事件で違います。

刑事は自白事件が多く、
基本的に1回で審理を終了しますから、
裁判を見に行くと判決以外の手続は、
全部見ることができます。

しかも、刑事手続の場合は
検察官や弁護人が提出した書面を全部読み、
証拠の説明もしますから、
裁判を見ている人も、
大体の裁判の内容がわかります。
時間も1時間くらいかかります。

刑事裁判って、
長くかかると思っている人が多いと思いますが、
基本は、審理と判決の2回で、
時間は最初の審理が1時間、
2回目の判決が10分で終わってしまうんです。

ところが、民事裁判を見に行っても、
どんな裁判かはわかりません。
裁判官がいくつか質問して、
原告または被告がそれに答え、
あるいは、その場で答えずに
「次回までに主張します。」で終わってしまい、
次回期日の打ち合わせとなってしまいます。

裁判を見ている人からすると、
弁護士と裁判官が
ただ期日の打ち合わせだけをしているように見えます。

前回「裁判はどのように進んでいくか」で説明したとおり、
民事裁判は何回も主張反論のやり取りをします。
だから、民事裁判では、
一度見ただけでは裁判の内容はわかりません。
しかも、時間の節約のために提出した書面を読まずに、
「陳述します」という一言で
書面を読んだことにしています。

裁判官と相手方は事前に書面をもらっているので、
書面の内容がわかっているのですが、
裁判を見ている人には
さっぱりわからないということになります。

民事裁判を見に行くのであれば、
証人尋問を選んで見に行く必要があります。
民事裁判は、
見ている人からすると
内容がわからなくてつまらないものですが、
裁判では全て口に出して主張しなければならないとすると、
時間がかかるだけで当事者にとって意味がありません。
だから、裁判が書面のやり取りになってしまっていても、
それは合理性を追求した結果で仕方がありません。

裁判当日は、
期日の打ち合わせだけだから
あまり大切でないかと言うと、
そうでもありません。
こちらの主張に対する裁判官や
相手方の反応を見て
裁判官や相手方がどう考えているか
探る機会になっているからです。

単なる期日の打ち合わせのように見えて、
弁護士や裁判官は、
それなりに気を使ってやっているのです。


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