弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第65回
弁護士と依頼者は親しくなれる?

弁護士の仕事は、他の職業と比較して、
依頼者と親しくなれる要素を持った
職業ではないかと思っています。

みなさんも、
弁護士は敷居が高いと思っていたけれど、
実際に相談したり、依頼したりしてみたら、
その弁護士と親しくなったという方も多いと思います。

僕は38歳で、
依頼者は圧倒的に年上の方が多いですが、
大体、みなさんと親しくさせていただいています。

僕が考える理由は、以下のとおり7つです。

1.依頼者は弁護士に対し、
  自分の身に起きたトラブルなど
  他人に言えないことを全て話します。
  秘密を共有すると親しくなれると言うじゃないですか。

  弁護士は、離婚や相続事件などでは、
  その人の歴史や一族の歴史についても
  知ることとなります。

2.弁護士と依頼者は、協力し合って、
  危機に立ち向かい、乗り越えようとします。
  危機体験の共有も、秘密の共有と同様
  人が親しくなる要素ではないでしょうか。

3.弁護士に依頼すると定期的に深く突っ込んだ話をします。
  人と人は、定期的に会っていると親しくなるものです。
  通常の取引でも、定期的に挨拶をしているだけでも
  親しくなると思います。
  しかし、裁判中は、弁護士と依頼者は、
  裁判の期日がある度に打ち合わせをすることになり、
  しかも、話す内容は、当たり障りのない挨拶ではなく、
  そのとき、どのように考えて、どうしたのか、
  あるいは、なぜしなかったかなど突っ込んだ話をします。

4.訴訟に対する考え方でお互いの性格がわかります。
  以前、裁判と麻雀などの勝負事は似ている
  という話をしました。
  麻雀をやると相手の性格がわかると言いますが、
  訴訟でも同じです。
  事実に対する見方、訴訟の戦い方で、性格や人間性が出ます。
  弁護士は依頼者の性格がわかるし、
  依頼者は弁護士の性格がわかることとなります。

5.依頼者にとって大切な財産や名誉を預ける関係にあります。
  これも、秘密の共有や危機体験の共有と
  同様の面があると思います。

6.弁護士に対し、法律を形式的に適用する、
  頭が堅い、庶民の心がわからないなどの
  マイナスのイメージがあるので、
  実際に会ってみて、普通の人であることがわかっただけで、
  依頼者の方で評価してくれる
  ということもあるかもしれません。

7.それから、弁護士が難しい試験を通った
  数少ない珍しい人種であるということも、
  依頼者と親しくなれる要素でしょう。
  ただし、弁護士の仕事は、結果が出ます。

  結果が良ければ、これも親しくなれる要素ですが、
  逆の結果になると、親しくなる要素があるにもかかわらず、
  嫌われたり、恨まれたりということにもなります。


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