弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第66回
弁護士がいない地域(弁護士過疎)

残念ながら、弁護士がいない地域、
弁護士がいても1人しかおらず
選択の余地がない地域が存在します。

弁護士会では、弁護士過疎地域と呼び、
特にひどい地域をゼロワン地区と呼んでいます。
具体的な地域などは、
日弁連(日本弁護士連合会)のホームページをご覧ください。

こういう地域があるから、
弁護士が少ないと言われそうですが、
弁護士過疎の問題は、
弁護士の人数の問題と若干異なります。

医者は、都心などでは、
余っていると言われていますが、
医者不足と言われている地域があります。
弁護士過疎や医者不足は、
同じような問題と思われます。

まず、地域の人口が減少している、
あるいは地域の産業が発展していない
ということが言えるのではないでしょうか。

弁護士も、一種の事業ですから、
顧客の増加、事業の効率的な運営が見込めない場所に
進んで開業する人はいないと思います。

また、弁護士過疎地域では、
弁護士自体少ないので、
弁護士同士の意見交換もできないし、
情報収集や研修を受けることも困難です。
特定の事件を多く扱うことも難しいので
専門性を磨くこともできません。

弁護士が少ないことにより、
弁護士としての公的な義務は
全て自分がしなければなりません。

開業後に事務所を遠方に移転するということは、
それまでの依頼者及び築いてきた信用を無くして
一からやり直すことに等しいので、
なかなか難しいと思います。

次に、生活の問題です。
弁護士も、仕事が終われば、
1人の人間としての生活があります。
生活には、家族もいます。
そこで、生活の便利な都心に集中する傾向にあります。

法律による紛争の解決や法的な保護を受けるには、
法律の専門家である弁護士が必要なのです。
しかし、実際には、弁護士個人の自由としていると、
他の地域と比較して弁護士過疎地域は
弁護士が業務を行なうに当たって
条件に差があるので
弁護士過疎という問題が生じてしまうのです。

では、どうしたら良いのかは、次回です。


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