弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第67回
弁護士過疎の解決策

法律によって紛争を解決したり、
法律の保護を受けたりするには、弁護士が必要です。
したがって、弁護士過疎の状態を放置しておくことは
好ましくありません。

前回、お話したとおり、
弁護士過疎の問題は地域の人口、産業や交通、
教育などの条件の違いによって生じるのですから、
弁護士の自由に任せていたら、
弁護士の人数を増やしても解決しない問題です。

そういうことを弁護士会がやっと気づいたのか、
弁護士会が積極的に公設事務所を設立して、
弁護士会が一定の収入を保証して、
弁護士を期間限定で派遣する制度を作りました。
また、法律事務所が弁護士法人となった場合に
支店を設立することも認めました。

ただ、弁護士過疎の問題は
地域ごとの条件差により生じるのですから、
弁護士会だけに任せておいては解決しません。
その地域の住民及び行政も
努力しなければならないと考えます。

例えば、特定の法律事務所に
弁護士を派遣するよう求める、
あるいは、ロースクールの学生に
貸与の奨学金を出し、
合格後一定期間勤務すると返還を免除する、
その地域で弁護士を希望する司法試験合格者を
特定の法律事務所に
一定期間教育してもらうなどすることが考えられます。

また、法律相談だけであれば、
今のインターネット技術を使えば
多額の費用をかけずに、
テレビ電話による法律相談も可能なのであって、
市町村などが東京の弁護士に
法律相談を委託することも可能だと思います。

行政に頼らず、
個人がメールや電話、ファックスにより
遠方の弁護士に相談することも可能だと思います。
弁護士がいないと嘆く前に、
誰かが何かをしてくれるのを待つのではなく、
自分でできることをしてみたらいかがでしょうか?


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