弁護士・高島秀行さんの
読んだらわかる訴訟の話

第79回
裁判と言えば証人尋問

裁判と言えば、
証人尋問を思い浮かべる方も多いと思います。

いつも言っているように、
ドラマでは、刑事裁判を取り上げたものがほとんどで、
証人尋問の中で、主人公である弁護士が
真犯人を明かすという話が多いからです。

実際の民事裁判は、
いつも言っているように、
基本は、書面のやり取りです。

原告の主張に対し、
被告がどこを認めて、
どこを認めない(否認する)という反論をし、
さらに、原告が反論し、
それに対し、被告が反論するということを繰り返し、
お互いの主張の異なっている部分を詰めていきます。
お互い主張のやりとりをしている間に、
原告被告それぞれが、
自分の主張を裏付ける証拠を提出します。

これによって、
原告と被告の言い分はどこが違って、
それについての裏付けとなる証拠が
どういうものがあるか
はっきりするわけです。

このように争点を絞って、
その争点について
どちらの主張が正しいか判断するために、
最終的に、証人尋問を行ないます。
証人尋問は、時間労力がかかるので、
訴訟を迅速に進めるために、
なるべく少なくしようとしているのです。

厳密に言うと、
原告被告といった当事者の尋問は、
本人尋問と言い、
原告被告以外の尋問を証人尋問と言います。

目撃者や立会人などの中間的な立場の人や
原告被告と利害関係のない第三者の証言の方が、
一般的に信用性が高いということとなります。

一方当事者の従業員や取引先、親族などは、
自分と関係のある当事者に
有利な証言をすると考えられますから、
全くの第三者よりは、
信用性が落ちるということとなります。

原告被告本人尋問は、
自分に有利なことを言うに決まっているので、
証言の信用性は、
原告と被告の証言の比較で決まる
ということになります。

あくまでも、これは一般論で、
証言の内容が明らかにおかしければ、
純粋な第三者の証言であっても、
信用されるわけではありません。


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