弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第7回
今回の借金の相談のポイント−親の借金はどうなる?その6

今回の相談では、
不動産の価値と
金融機関からの借金額が大体同じなので、
金融機関の承諾を得て、任意売却をして
まず、金融機関からの借金をなくしてしまうというのも
借金整理の方法の1つでした

ただ、
(1)不動産が場所的にあまりよい立地にないので
   直ちに希望額で売却できるか疑問があること

(2)その不動産に相談者や弟の利害が絡むので
   任意売却するにはそれらを整理しなければならないこと

(3)住んでいる自宅を任意売却してしまうと
   今後は賃料を支払って住まなければならないこと

(4)金融機関があまり任意売却に積極的ではないこと

(5)親類と話し合いが付くことが前提ですが、
   きちんとお父さんの収支が管理できれば
   このまま金融機関に返済して行ける可能性が
   強いと思われること、

(6)他の借金は子供からの借金で
   早急に整理する必要もなさそうだったこと

などから相談者がお父さんの収支を管理して
返済していくというのがよいのではないかと
アドバイスしました。

破産はいつでもできるので、
今回は、相談者の希望や
他の利害関係人とのトラブルが生じない方法を考えて、
その方法が可能か試してみた方がよいと判断しました。
ちょっと、事情が違えば、違う判断になったかもしれません。
このケースは既にサラ金からの借金を
息子さんがお金を出して整理していたということも
破産を選択しなかった理由となっています。

メールの質問に対する回答では、簡単に、
1.不動産がある場合に破産ができるかできないか
2.資産の方が負債より多い場合はどうなのか
3.債権者と相談して土地を売却して返済に当てることができるか
4.身内に対する借金を相続した場合の相続税はどうなるか

という点のみ回答して終わりで、
相談者が一番知りたい両親の借金を
どうやって解決していけばよいのか
ということのアドバイスはできません。

また、メールでは、
弁護士が必要な情報を得るために細かい事情について質問をし、
相談者から必要な回答を得ることは、
かなりの労力を要するので
そのような過程は省略して、回答することとなってしまいます。
メールでは一般論での回答はできても、
その相談者にとって、
よいアドバイスをすることが難しいこともあります。

だから、僕は、みなさんに、
問題を抱えたら、無料のメールによる質問で
簡単に済まそうとするのではなく、
実際に弁護士に会って、
弁護士の質問に答え、資料を提示するなど
弁護士がアドバイスするのに必要な情報を与えてから、
アドバイスを受けた方がよいと言っているのです。


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2004年11月2日(火)

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