弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第31回
ペイオフで困るのは

ペイオフで困るのは、
銀行預金が1億円以上ある人だと思われます。
預金を10以内に分けるのは何とかなりそうですが、
それ以上となると分けること自体大変ですし、
分けて管理するのも面倒だからです。
(銀行があまりない地域に住んでいる方は、
 分けるのも難しいかもしれません。)

でも、1億円以上の銀行預金を持つお金持ちは、
なかなかいないんじゃないでしょうか?
だから、普通の人は、ペイオフについて
あまり心配する必要はありません。

預金保険の対象は、
本店を日本に置く銀行の円預金で、
外貨預金をしている人や
外国銀行に預金をしている人は、
もともと預金保険や国の全額保護も受けていませんから、
ペイオフを気にする必要がありません。
これらは、銀行が倒産したら、
倒産手続で決まった配当比率によることとなります。

個人では、ペイオフにより損する可能性がある人は
少ないと思いますが、
会社を経営したりしている場合には、
仕入先や従業員の給料を支払うために、
一時的に一つの銀行に
1000万円を超える預金額があることは十分考えられます。

その残高があるときに、銀行が倒産すると、
仕入先や従業員に支払いができず、
損害を被るおそれがあります。
そのため、何らかのペイオフ対策をしておく必要があります。

ペイオフが実施されても、
利息のつかない決済性預金は
全額預金保険で保護されるそうです。

だから、仕入先や従業員への支払をするための資金は
決済性預金口座に入れておくというのも
一つの方法です。

しかし、ペイオフが実施されたからといって、
直ちに銀行が倒産するわけではありません。
例えば、国の検査を受け、監査法人の監査も受け、
不良債権処理に目処がついたといわれている
メガバンクが倒産したら
大変な社会問題になるでしょう。

そんなことが万が一起きたら、
これまでどおり、
国あるいは、倒産した銀行を引き継ぐ銀行が
預金を全額保護するのではないでしょうか?

ただ、銀行が倒産するか、倒産したとき
国がどこまで保護するかはわかりませんから、
ペイオフ対策を取られる方は取られたらよいと思います。

しかし、ペイオフ対策に便乗して、
危ない金融商品を売りつけようとする
セールスマンもいますから、
十分に気をつけてください。
その金融商品が値下がりして損をする確率と、
銀行が倒産して損する確率と
どちらが高いかよく考えてください。

ペイオフ対策は、
銀行が倒産した場合への対策ですから、
銀行よりも安心、例えば格付けの高い会社、
商品に投資しなければ、
ペイオフ対策にはならないからです。


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2005年1月27日(木)

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