弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第65回
妻に正直に話しても

世の中、離婚する、
あるいは考えている人が多いせいか、
離婚の相談にのることも多いです。

その中に、妻に対し
「好きな女性ができたので、離婚して欲しい。」
と言ったところ、
妻から「応じない。」と言われてしまったのですが、
どうしましょうか?という相談もあります。

その夫婦は、それまであまり
仲がよくなかったのかもしれません。
奥さんがご主人に
好きな女性ができたら言ってくれれば
いつでも分かれると
言っていたのかもしれません。
ご主人が正直者で、
妻に正直に自分の気持ちが妻にないことを話せば
わかってもらえると考えていたのかもしれません。

しかし、一般的に、夫に
「女性ができたから別れて欲しい。」と言われて、
「はい、そうですか。」と応じる奥さんはいません。

どちらかと言えば、
仮に別れてもよいと思っていたとしても
他の女性と結婚させないために
離婚しないと頑張る奥さんや、
慰謝料等を吊り上げるために
離婚しないと頑張る奥さんが多いようです。

弁護士に相談するケースは、
離婚に応じてもらえなかったケースばかりですから、
実際には、夫が正直に話せば、
離婚に応じてくれる奥さんもいるのかもしれません。

しかし、うまく行かなかった場合は、
こちらの不貞行為を握られており、
相手から離婚する権利はあるけれども、
こちらから離婚を求める権利はないので
全くどうにもなりません。

5年以上別居して
離婚を求める方法も考えられますが、
どのくらい別居すれば
不貞行為を行なった方から
求めた離婚が認められるかは、
判例上固まっていないので、
7年かもしれないし、10年かもしれません。

その間、奥さんと別れたら
結婚する予定であった女性が
そのような中途半端な状況で
耐えてくれるのかはわかりません。
場合によっては、
女性が奥さんから
慰謝料請求を受ける可能性もあります。

このようなケースでは、
正直に話せばよいというものでもないようです。


←前回記事へ

2005年6月2日(木)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ