弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第66回
離婚が一時的に減少したと言っても

2002年をピークに、
ここ数年、離婚は減少しているようです。
だからと言って、世の中、
家庭や夫婦を大切に思う人が
増えたからというわけでもないようです。

よくデータを分析してはいませんが、
それは、そもそも結婚する人が減っているから、
離婚する人が減っているのかもしれません。

もう1つの原因として、
増加していた婚姻期間が長い方の離婚、
いわゆる熟年離婚が
減少していることがあります。

この熟年離婚が減少している理由として、
離婚した場合に夫の年金を
離婚した妻にも分割することが認められるのを
待っているのではないかと言われています。

これまで、夫が会社員として働いて、
妻が専業主婦の場合、夫の給料から
厚生年金等の保険料が支払われていました。
保険料の名義人である夫は、
多額の年金をもらえますが、
保険料の名義人でない妻は
基礎年金部分しかもらえません。

結婚が続くのであれば、
夫がもらおうが妻が受け取ろうが
世帯収入は同じですので、問題はありません。
しかし、離婚すると、結婚していた時期に、
夫婦の収入から保険料が支払われているのに、
離婚すると、
夫だけ多額の年金を受け取ることができるという
不公平な結果になってしまいます。

そこで、法律を改正し、
離婚時には、年金を分割することが
できるようにすることとなっています。
これが平成19年4月から施行される予定だそうです。

年金が夫婦合わせて月30万円だったとすると、
法律改正後は、財産分与として
夫婦で作った財産の2分の1の他に
月15万円の定期収入を得られることとなります。

これまで専業主婦をしてきたような奥さんにとっては、
これがもらえるかもらえないかでは大きな違いです。

そこで、これまで20数年も我慢してきたのだから、
あと数年くらい我慢してみるか
ということかもしれないのです。

もしそうだとすると、
平成19年4月以降は、
いわゆる熟年離婚が再び急増するかもしれません。
サラリーマンで
多額の年金をもらえる可能性のある世のご主人、
熟年離婚減少のニュースに安心してはいられませんよ。


←前回記事へ

2005年6月7日(火)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ