弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第68回
倒産した会社の買収

売りに出ているのは、
ゴルフ場だけではありません。
後継者のいない会社、
業績の悪化している会社など、
会社を買って欲しいと思っている経営者は
多いものです。

中でも、民事再生手続や
会社更生手続などにより倒産した会社は、
必ずと言っていいほど、
会社を買ってくれるスポンサーを探しています。

みなさんは、
倒産した会社の買収なんて
危ないと思うかもしれません。
しかし、実は、倒産手続の中で買収する方が
普通に買収するよりもメリットが多いのです。

普通に会社の買収をすると、
会社の借金や買掛金は
全部引き継ぐこととなります。
しかし、民事再生手続や会社更生手続の中で
会社を買う場合には、
それまでの債権者への支払いは、
手続の中で定められた数パーセントを弁済すれば、
残りの金額は弁済しなくてよいこととなります。

それから、普通の会社の買収の時には、
簿外負債や隠れ借金などが後から出てきて、
トラブルとなることがありますが、
倒産手続の中で会社を買収したときには、
そのときに明らかになっていない債権は
ないこととなってしまいますから、
後から簿外負債や
隠れ借金などが出てくる問題はありません。

従業員は、普通に買収したときには、
新しい経営者に対し、
業務の進め方や給料の額、
人員体制などの変更に対し、
抵抗をしがちです。

しかし、倒産手続の中で買収した場合には、
従業員にこれまでのやり方では
再度赤字になり、倒産してしまうということを
強く認識してもらうことができるので、
社内の改革を進めやすいということとなります。

スポンサーとなる購入金額は、
倒産した会社を購入するので
通常購入するよりも安くなるのが普通です。

そこで、取引先や
自分がやりたいと思っていた業種の会社が
倒産した場合、
スポンサーとなり買収するというのも
一つの方法です。


←前回記事へ

2005年6月14日(火)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ