弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第73回
借金が時効で消えない

一定の時間が経過すると、
借金や買掛が消えてしまう消滅時効の制度は、
支払義務を負っている債務者にとっては
便利な制度です。

しかし、貸主や売主といった
請求する債権者にとっては、
時効が簡単に認められては、たまりません。

そこで、法律は、
時効の中断という借金や買掛が
時効により消滅しないための制度を設けています
(民法147条)。

時効が中断される場合は、
大きく分けて2つです。
1つは、債権者が裁判を起こすなど
法的手続を取った場合です。
もう1つは、債務者が支払義務を認めた場合です。

債務者が、
借金がいくらあるという残高証明書にサインをすれば、
当然、支払義務を認めたこととなりますから、
時効は中断します。
債務者が支払いを待って欲しいということも、
当然、債務があることを前提としていますから、
これも支払義務を認めたこととなります。

実際に、分割払いで支払っていることも、
支払義務を認めているからこそ
支払いをしているので、
これも時効を中断します。
だから、支払いを継続している間は
時効にかかりません。

銀行からの借入は、30年ローンだけど、
会社(銀行)からの借金は
5年で時効により消滅するから、
5年を越える部分は
支払わなくていいんじゃないか
と考えた人はいませんか?

もちろん、支払いを継続していれば、
5年経っても10年経っても、
借金は時効で消滅することはありません。
時効が進行するのは、支払いを拒否したりして、
支払いを止めたままの状態が
何年も続いていた場合です。

それから、民法147条に
「請求」が時効を中断すると記載していることから、
請求書を出すことで、
時効が中断されると誤解している人がいます。

民法147条の「請求」は
裁判を起こして請求するという意味ですので、
単に請求書を出し続けただけでは、
時効は中断しません。

だから、債権者が時効を中断するには、
残高確認書にサインをもらったりするか、
裁判を起こすかということとなります。


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2005年6月30日(木)

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