弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第74回
いざというときお金がないと

現代の世の中は、
貨幣経済の仕組みがとられていますから、
他人から商品を購入したり、
サービスを受けたりするには、
お金が必要となります。

トラブルに巻き込まれて、
弁護士に相談したり、
事件処理を依頼したりする場合にも、
当然、お金が必要になります。

お金がない場合には、
買いたい商品が買えないように、
トラブルに巻き込まれても、
弁護士を立てて争って
自分の利益を確保することが
できないこととなってしまいます。

以前、こういう事件がありました。
ご主人と離婚した女性が
離婚後もお子さんといっしょに
ご主人の両親のマンションに住んでいました。

その後しばらく経って、ご主人の両親は、
ご主人の借金のせいでお金に困って、
マンションを売らなければならなくなり、
その女性に明け渡しを求めてきました。

女性は、パートで働いて、
お子さんを養っていたので、
弁護士など依頼する費用はありませんでした。

しかし、亡くなったお母さんが
僅かのお金を残してくれたので、
そのお金で、弁護士に依頼することができると思い、
相談に来たそうです。

なかなか難しい事件でしたが、
訴訟で争い、その後その女性は
そのマンションに2年間無償で
住み続けることができました。

その間に、
僕の作成してあげたお父さんの遺言書で、
多額の遺産も手に入れるという
おまけまで付きました。
その遺言書がなければ、
遺産は他の親族のところに行くところでした。

その女性は、
「亡くなったお母さんがお金を残してくれなければ、
 弁護士にも相談できず、
 言われるままにマンションを追い出され、
 遺産も全部取られてしまい、
 親子で路頭に迷うところでした。」
と言っていました。

いつも、こんなにうまく行くとは限りませんが、
困ったとき弁護士に相談したり、
依頼したりすることにより、
よい結果となることがあります。

困ったときに相談する相手は、
弁護士だけではないでしょうが、
大抵お金がかかります。

いざというときお金がないと、
なかなかうまく物事の解決を図るのは
難しいかもしれません。


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2005年7月5日(火)

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