弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第87回
多重債務者の嵌るワナ

複数のサラ金やカード会社などから
借金をしている人を多重債務者と言います。

銀行あるいは銀行系のいわゆる消費者金融は、
利率は15%から20%と利息制限法の範囲で、
その他のサラ金やカード会社から借り入れをすると
利率は25%から29%となります。

借入の総額が200万円になると、
年25%の利息だとして、
1ヶ月の利息だけで約4万1000円となります。
この金額を下回る金額を返済しているのでは、
元本が減りません。
これを1万円上回って、
月々5万1000円返済したとしても、
元本は1万円ずつしか減りませんから、
200万円の元本返済するには
かなりの年月がかかってしまいます。

借りるときには、
利息と元本を含めていくらずつ支払っていくと、
いつ完済になるということを考えなかった
多重債務者の方も、
払っても払っても借金が減らないことに気づいて、
初めてサラ金の利息が高いということに気づきます。

そこで、この段階で多重債務者の方は、
利息が安いところで
借金を一本化できないだろうかと考えるようです。
この多重債務者の甘い期待を狙ってワナが仕掛けられます。
それが、「低い金利であなたの借金を一本化します」と
借金の一本化をうたうダイレクトメールや広告です。

この広告を信用して、その業者を訪問すると、
「カードでいくら以上の商品を買ったら審査が通りやすくなる」
あるいは、
「あと50万円サラ金で借りてくれば一本化できる」
などと言って、すぐには、一本化してくれません。

しかも、カードで買い物をしたり、
サラ金で借金をしたりして、お金を作るように勧めます。
もちろん、その業者は、
購入した商品を売却した代金や
サラ金から借りたお金から手数料を取ります。

その結果どうなるかというと、
「審査に時間がかかっています。」
「審査が通りませんでした。」などと、
低利による借金の一本化はしてもらえません。

借金が増え、手数料は取られ、
事態はますます悪化するのみです。
しかも、返済が困難になってから、
カードで購入した商品を安い価格で処分することは、
破産の免責不許可事由に当たります。

サラ金などからの借入の返済が苦しい多重債務者に、
無担保・無保証で、
しかも低利で借金の一本化をしてくれる
そんなうまい話はありません。

借金の一本化が必要だと思ったときは、
弁護士に破産や任意整理などの
借金の整理を依頼するときです。

騙されて、借金額を大きくしたり、
破産したときの免責の障害となる行為をしたりする前に、
弁護士に相談してください。


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2005年8月18日(木)

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