弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第97回
トラブルの対処法がわからない

前回、世の中には
詐欺的商法がたくさんあるので、
その対処法などを
教育の場で教えたらよいのではないか
という話をしました。

でも、国語、数学、英語、理科、社会といった
受験科目に関係ないので、
教えられないということかもしれません
(社会で教えてもよいと思います)。

それに関連して、
トラブルの対処法として、
裁判があるということも
教えられていないような気がします。

初めて会った方などには、
「弁護士さん?
 何か悪いことをして捕まったらお願いするよ。」
と言われることが多いです。

要するに、弁護士は、犯罪者の弁護が仕事。
裁判所は、犯罪の容疑をかけられた人が受けるもの。
と思っている人が多いということです。

最近は、テレビで法律相談の番組があるので、
生活上のトラブルは
裁判で解決するという意識が
だいぶ広まって来たようです。
「訴えてやる」は、
「民事訴訟を起こす」あるいは
「民事裁判にかける」ということですから。

身に降りかかったトラブルは、
費用や労力を考えると
当事者の話し合いで解決できるのが一番です。

しかし、トラブルは
全て話し合いで解決できるかというと、
全ての人が合理的に円満に
トラブルを解決しようとするわけではありませんから、
それは無理です。

一方が無茶なことを言ったときでも
話し合いで解決するには、
その相手がその無茶を飲むしかありません。
それでは、無茶を言った者勝ちとなってしまいます。

だから、全てを話し合いで解決することは無理で、
その場合には、
裁判で解決するほかないという知識を
教えておく必要があります。

裁判所というのは、
人が有罪か無罪かだけを判断するところではなく、
人と人とのトラブルを
法律によって解決することもするという知識は、
社会生活を営む上で必要だと思います。

その前提として、トラブルが生じたら、
法律上どうなるのか
弁護士に相談してみるということも
必要な知識です。

ただ、これくらいのことであれば、
親が子供に教えることは可能かもしれません。
もしかしたら、社会科の中で
教えられているかもしれません。

誰か読者の方で、
この辺のことをご存知であれば、
教えてください。


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2005年9月29日(木)

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