弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第134回
病院が狙われている

高齢化社会を迎え、病院にかかる人は増えているので、
病院はどこも好景気、のはずです。
しかし、実際には、国が高齢化社会に備えて、
健康保険制度を維持するために、診療報酬を引き下げています。
また、医療技術・設備の進歩により、
最新の医療を行なうためには多額の設備投資が必要となっています。
地方と都市部の経済状況の違いも、
病院経営には影響を与えています。

他方、病院は比較的収入に恵まれてきたことから、
バブル経済時代の不動産や株式の投資の失敗、
過剰な設備投資による借金などを
いまだに引きずっていることも多いです。
そこで、経営難に陥っている病院が増加しています。
これまで、収入に恵まれてきた病院は、
経営のことと言えば、節税を考えるくらいだったでしょう。
しかし、経済状況の変化で、
資金繰りは考えなければならないし、
いかに医療サービスを提供して、
収入を増やしていくのかを考えなければならなくなったのです。

病院の経営を行なっているお医者さんは、
医療の専門家ですから、
経営については関与する機会もなく、知識も経験もありません。
そこで、経営コンサルタントなどに頼ることが多いようです。
しかし、経営コンサルタントは、
資格など不要で、誰でも名乗ることができます。
病院の経営のためになるアドバイスをしてくれる
コンサルタントもいるでしょうが、
病院を狙っているコンサルタントもいます。
現に、コンサルタントとして病院経営に入り込み、
多額のコンサルタント料を受け取る他に、
さらに、お金を貸し付け、
病院を乗っ取ることまでするケースが増えているようです。

病院は、経営難に陥ったと言っても、
多額の収入が入ってくるので、
経営を乗っ取る側にしてはメリットが多いからです。


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2006年2月28日(火)

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