弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第142回
残された家族にとって罪なこと

人は、誰でも、自分が死ぬことを考えたくありませんから、
自分が死んだ後のことも考えたくありません。
しかし、自分が死んだ後のことを考えてあげないと、
残された者が困るということがあります。
その1つが、自分が死んだ後の財産の分け方、
即ち、相続・遺産分割の問題です。
 「自分のところは、家族が仲良くやっているから、」
 「自分には、分ける財産もないから」
と思っている人がほとんどでしょうが、
弁護士のところに持ちかけられる相談は、
「亡くなったお父さんあるいはお母さんは、
そう思っていたのだろうな。」
というケースは多いのです。
兄弟や親子でも、財産が絡むと、
過去の因縁も含めて、揉めてしまうようです。

遺言というと、自分の死を連想させる
不吉なものと考えがちですが、
いざというときのために、
残された家族への自分の思いを書き残しておくもの
と考えてください。
そうすれば残された遺族は、遺産を巡って、
兄弟や親子で相手を疑ったり、悪く言ったりしなくて済みます。

遺産分割での争いでは、
兄弟が、何十年も前の子供のときのころから、
「兄はどうだった。」「弟はどうだった。」などと、
その家族の長い歴史の中で、
相手の都合の悪い事実を思い出して主張し合います。
それは、亡くなったお父さんやお母さんが知ったら、
悲しむような戦いとなってしまいます。
そうならないためには、遺言で、
財産の分け方を決めてしまえばよいと思います。
そうすれば、兄弟や親子で
財産を巡って争うようなことはなくなります。

逆に言えば、遺言を残さないことは、
子供など残された家族が争うきっかけを与えてしまう
罪なことなのです。


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2006年3月28日(火)

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