弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第172回
保険金詐欺?

前回、損害保険会社の保険料不払いについて
行政処分がなされたことのお話をしました。
あの保険金の不払いは、
細かい特約だったので、
契約者も忘れていて、
保険会社も忘れていた(?)というものです。

しかし、契約者が、
事故が起こったから
保険金請求をしているにもかかわらず、
保険会社が保険金の支払いを拒むケースがあります。
これは、保険会社が、
契約者が事故を偽装したと考えている、
即ち保険金詐欺の疑いを持っている場合です。
保険には、
人が死亡したら支払われる生命保険、
怪我をしたら支払われる傷害保険、
事故を起こし
怪我をさせてしまったら支払われる
損害賠償保険、
家が火事になったら支払われる火災保険、
自動車が盗まれたら支払われる盗難保険
などいろいろあります。
全ては、偶然の事故を前提としています。

ところが、世の中、
お金に困るとわざと事故を起こして
保険金を支払ってもらおうという人たちがいます。
そういう人たちにまで、
保険金を支払っていれば、
保険会社の保険金支払いは多額となり、
保険料が高くなったり、
保険そのものが成り立たなくなったりしてしまいます。
それはわかりますが、
現実問題として、偶然の事故なのに、
保険会社から、
怪しいので保険金の支払いはできない
といわれてしまうと、
なかなか普通の人が
偶然の事故だと証明することは難しいのです。
例えば、家が放火されたという場合や
自動車が盗まれたという場合、
犯人が警察に捕まれば、
事故だと証明できますが、
犯人が捕まらない場合、
普通の人は、
犯行時刻のアリバイさえ
証明できないことが多いのではないでしょうか?

そこで、保険金請求について、
保険会社と裁判となっているケースも多いです。
最近は、自動車盗難保険で
イモビライザーという
盗難防止装置が搭載されている高級車が
盗難にあったケースについて、
裁判になっていることが多いようです。
事故に遭って
保険金請求するのが2度目だったり、
借金があったりすると、
お金に困って
保険金詐欺をしているのでは
と疑われやすいです。
お気をつけください。


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2006年7月13日(木)

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