弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第196回
競売物件でのトラブル

新聞広告などで見かける
裁判所の競売物件の価格が
安い理由についてお話しています。
競売物件が安い理由として、
建物やマンションの内部などを
見ることができないことをお話しました。

それだけではありません。
見ることができないばかりか、
購入した後で建物や
マンションに欠陥があったとしても、
裁判所を始めとして、
誰も責任を取ってくれません。

これも、通常の不動産の売買とは、
大きく異なります。
極端なことを言えば、
家が傾いているかもしれませんし、
水回りがだめになっているかもしれないのです。
近隣とのトラブルがあるかもしれません。
さらに、通常の売買では、
売主は、物件の引渡しに協力してくれますが、
競売物件では、
これが期待できないケースも多いのです。
法律上、競売にかけられた物件の所有者は、
買主に物件を引き渡す義務を
負うこととなっています。
しかし、所有者は、
自分で好き好んで
建物やマンションを
売りに出したわけではありません。
特に債権者との間で
トラブルになって
不本意ながら裁判で負けてしまった
などというケースでは、
自分の建物や
マンションへの執着は相当なものです。
そうなると、
何が何でも居座ろうとして、
なかなか出て行かない可能性があります。

また、建物やマンションに執着はなくても、
お金がなくて
財産が競売にかけられるくらいですから、
新しい家を借りるお金も、
引っ越すお金もない人もいます。
もっと悪いことには、
立退料目当てに
居座る人たちもいます
(この人たちを「占有屋」と言います)。
これらの人を
「引渡命令」という
法的手続により立ち退かせることもできます。

しかし、この引渡命令で
荷物を搬出するには、
専門の業者を
利用しなければならないことが多く、
搬出したものを
一時的に保管する
倉庫を確保する必要がある場合もあり、
意外に費用がかかります。


次回に続きます。


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2006年10月5日(木)

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