弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第222回
不動産の仲介

家を売るとき、買うとき、
貸すとき、借りるときなど、
不動産の取引をするときには、
いわゆる不動産屋さん、
不動産業者に仲介を依頼するのが普通です。

仲介というのは、何をするかというと、
売主と買主、貸主と借主を結びつけることです。
宅地や建物の売買や貸し借りの仲介をすることを
ビジネスとして行なうには、
宅地建物取引業の免許が必要となります。
アパートやマンションの貸し借りの仲介では、
1件あたりの仲介の報酬があまり多くないせいか、
無免許業者が行っているということは聞きません。

しかし、土地やビルの売買、
ビル1棟の賃貸となると、
1件あたりの仲介の報酬が大きくなるので、
無免許業者が絡んでくることもあるので、
気をつけることが必要です。

きちんと宅地建物取引業(いわゆる「宅建」)
の免許を取得している業者と
無免許業者はどこが違うかと言えば、
免許業者には、
依頼者保護のために、
様々な義務が課されています。

大きなものを挙げてみます。

(1)報酬の上限
   宅建業者は、報酬の上限が決められています。

(2)重要事項の説明義務
   宅建業者は、
   売買代金や賃料などの契約内容の他に、
   物件についての法規制や物の状態などの
   重要事項については、口頭で説明した上で、
   書面に記載して渡さなければなりません。

(3)依頼者に損害を与えたときのための営業保証金
   宅建業者は、
   宅建業者のせいで損害を与えた場合に備えて、
   営業保証金を供託する必要があります。
   ただし、弁済の限度は1000万円です。

このように宅建業者には、
法律上、宅建業者に依頼する人を保護するために、
いろいろな義務を課しているのです。
違反した場合の罰則もあります。

これに対し、無免許業者は、
もともと仲介行為自体違法で、
このような義務を負いませんから、
重要な事項について、
きちんと説明してくれるかも、当てになりません。

くれぐれも無免許業者にはお気をつけください。


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2007年1月9日(火)

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