弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第239回
ネットで紛争解決?

前回、ネット上の情報は
鵜呑みすると危険だということをお話ししました。
今回は、ネットで、
紛争を解決することを依頼することも危険だという話です。
ネット上で、質問に対して、
無料で回答してくれるホームページもあるようです。
その中で、
「じゃあ、私が解決してあげましょう」とか、
「私なら解決できますよ」
などと言ってくるケースもあるようです。
ネット上でなくても、信用してしまう方は、
信用してしまうのかもしれません。

しかし、相手が、どこの、誰で、
何をしているかわからないにもかかわらず、
自分のトラブルという
プライバシーに関する情報を
相手にだけ与えてしまって、
お金まで支払ってしまうということは、
とても怖いことだと思うのですが、
ネット上だと、気軽にしてしまうようです。

トラブルや個人情報が、
さらに、誰かに、流されてしまったらどうでしょうか?
お金を払っても、
何もしてくれない可能性はないでしょうか?
逆に、トラブルや個人情報を公開すると、
脅されることはないでしょうか?

実際、僕のところに、
お金を払ったけれども、何かをしてくれたのか、
してくれていないのかもわからず、
さらに、トラブルを解決するのに必要だからと言って、
追加の金銭を請求されたという相談がありました。
ネットで知り合って、
相手の名前の住所も職業もわからないというのでは、
法的に、詐欺で訴えるのも難しいし、
払ったお金を取り戻そうとすることも難しいです。

基本的に、紛争やトラブルを解決して
お金をもらうことができるのは、弁護士だけです。
他の士業の場合には、
紛争解決に関与できる場合と
できない場合があります。
弁護士の資格のない人が
トラブルや紛争を解決してお金をもらおうとすると、
弁護士法違反になります。

資格を持っていても、
やれるものとやれないものとが
決まっているのですから、
全く資格を持っていない人は、論外となります。
まだ、こういう事例は聞いたことがありませんが、
ネット上で、弁護士でない人が
弁護士を名乗り法律相談や
事件の依頼を受けるということが出てくるかもしれません。
弁護士に会ったり法律事務所に行ったりしないで、
メールだけでの相談を希望する人も多いですから、
既にあっても、おかしくはないです。

インターネットは、
非常に便利なツールですが、
それは人を騙そうとする人にも
非常に便利なツールであることを忘れないでください。


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2007年3月8日(木)

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