弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第246回
お金を返してもらいやすい人は

お金を貸すと言いますが、
返してもらわなければお金をあげたのと同じです。
しかし、一度、みなさんの手を離れたお金を
取り戻すのはなかなか容易ではありません。
相手が破産してしまえば、
貸したお金はパーになってしまいます。
破産しなくても、収入やお金、
財産のない人からはお金を取り戻すことはできません。
金融機関などは、
顧客のプライバシーや個人情報を守りますから、
お金を貸した相手が、
どこに預金があるかなどの情報を調べることは
弁護士でもできません。

それでは、お金を貸した場合に、
返してもらいやすい人、
即ち、お金を取り戻しやすい人は、
どういう人かというと、きちんと定職に就いている人です。
定職に付いている人がお金を借りて返さなかった場合には、
裁判をして、判決を取れば、
給料を差し押さえることができます。
ただ、勤務先の名前や住所がわかっていないと
差押えができませんので、お金を貸すなら、
勤務先の名前と住所くらいわかっている相手にしましょう。
しかし、勤務先を辞められてしまうと、
差押えができなくなってしまいますから、
まめに転職している人や
転職が可能な職業の人は、危ないです。

それから、担保の設定していない不動産を持っている人からは
お金を返してもらいやすいです。
返してもらえなければ、
不動産を差し押さえて競売にかければよいからです。
しかし、担保を設定していない不動産を持っている人が、
あなたからお金を借りたいというと思いますか?

このように、なかなか、
一度貸したお金を強制的に返してもらうのは難しいのです。
強制的に返してもらうには、
裁判で判決を取る必要がありますから、
少なくとも、借用証に、日付を入れて、
署名捺印をしてもらいましょう。


←前回記事へ

2007年4月3日(火)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ