弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第251回
メールでの法律相談も難しい

前回、メールだけで、契約関係や財産関係、
家族関係などの重要な事項を話していると、
トラブルになったり、
トラブルが大きくなったりするという話しをしました。

同様に、メールでの法律相談もなかなか難しいのです。
法律相談をする側からすると、
メールで法律相談ができれば、
法律事務所に行かなくて済むし、
あまり縁のない弁護士とも会わなくて済むから、
簡単で便利だと思う方も多いようです。

しかし、法律相談は、
弁護士が、
(1)前提となる事実関係を聞いて、
(2)その事実関係についても、証拠があるのかないのか、
(3)証拠から、その事実があったと言えるか、
(4)他に有利な事情はないか、
(5)あるいは不利な事情はないか、
(6)相手との力関係や人間関係はどうか、
(7)相談者はどうしたいのか、
(8)相談者や相手方の資力はどうかなどを聞いて、

(1)どういう法律構成が考えられるか、
(2)請求は通る見込みが高いかどうか、
(3)今後具体的にどうしたらよいか
などをアドバイスします。
ところが、メールでの法律相談では、
当然、事実関係の説明で、
相談者が重要と思うことしかメールには書けません。
すると、弁護士の方で、
判断に必要な事実がメールに書かれていなければ、
その事実があるかないかを
いちいち聞いて答えなければなりません。
それは、すごく面倒なので、
弁護士の方では、ある程度、
不確定な事実をそのままにして、
アドバイスしてしまうこととなってしまいます。

そうすると、あまり実体に合わない
アドバイスとなってしまう可能性もあります。
実際の法律相談では、
最初電話でこういうことを相談したいと申し込まれて、
実際話を聞いたり、証拠を見たりすると、
別な法律の問題であったり、
違う解決方法を取らなければならなかったりすることは
少なくありません。

僕も、相談者が遠方の方の場合、やむを得ず、
電話やメールで相談を受ける場合もありますが、
なるべく面談で法律相談を受けることをお勧めします。
メールだけよりも、
電話で相談を受ける方がよいと思います。 


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2007年4月19日(木)

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